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2012年10月15日 (月)

共著者の責任を問え:iPS事件

山中教授のノーベル賞受賞に悪乗りするかのように「iPS細胞の人体応用成功」のニュースが流れ、そのニュースの信憑性に疑問があると言う続報でテレビなどが騒いでいる。

科学の世界で時々流れるこの種の事件の原因はどこにあるか。事件を起こした論文の共著者の責任を徹底させないためである。

今回の事件で言えば、森口氏が学会発表すると言うその論文(ポスターでの発表)の共著者である。そこに書いてある教授らの名前である。共著者も発表者と同じ責任がある。もし、報道にあるように共著者が知らないのであれば、名前を勝手に使われたのであるから森口氏を告訴しなければならない。それが出来ないのであれば同罪である。

このような事件を起こす人は必ず有名教授などを共著者にしておく。論文を審査するレフリーはその教授が責任を持っていると考えるのだから、審査も甘くなる。その学会常識を悪用するのである。名もない一人の研究者が重要な論文を単名で投稿すれば自ずから審査は厳しくなる。

2000年頃、超伝導の分野でノーベル賞にも推薦されそうな論文が一流雑誌に何篇も掲載された。この研究は、ある方法で薄膜を作り、電子を注入すると超伝導を示す。その臨界温度が100Kを越える、というものである。科学界で一番評価の高いNatureという雑誌などに投稿し掲載された。これがなぜ疑われたか。科学知識は誰にも共有されなければならない。しかしこの結果は他の研究者が追試しても誰も同じ結果が得られなかった。この薄膜を作ることが出来るのは彼だけだった。他の研究者が誰も追試出来ず、彼の研究グループの誰もがその追試に成功しなかったため、研究結果が疑われた。共著者にはこの分野の有名人が名を連ねていた。アメリカ物理学会はついにスタンフォード大学のビズレー教授を委員長とする調査委員会を立ち上げ、彼の論文を徹底的に分析した。その結果、図面などに巧妙に作図されたことが指摘され、データは偽造されたものと結論された。一連の彼の論文はすべて学術雑誌から削除された。つまり、発表がなかった事になった(そのページは空白である)。常温核融合の時もそうであるが、アメリカは調査委員会を組織して徹底的に調査し、報告書を公表する。曖昧にはしない。これはアメリカの良いところである。

彼はこの分野の学会を追われ、ドイツに帰った。しかし、一流の科学者にも見破られない論文を書けるということは、これはまた大きな能力なのであろう。この能力が評価されたか、ドイツで就職できたと聞いている。

問題は共著者の責任である。渦中の人は責任を取らされた。当然である。この事件が解決しても共著者に名を連ねたこの分野の有名人は何のお咎めもない。彼の業績に傷がついたとも聞かない。自分が名を連ねたことが事件の一因でもあるのである。学会はトカゲのしっぽを切って、教授らは何のお咎めもなし。アメリカ流の研究者評価システムでは論文をたくさん書いた人が評価されるからである。日本でもある教授は自分の研究室を卒業した人の論文のすべてに共著者となっている。そのために自分の名前の入った論文同士で結果が異なる論文も出てくる。「お前の考えはどっちなんだ」と批判されても、カエルの面に何とか。責任を取ることはない。

今回のiPS細胞の事件でも東大や医科歯科大の教授等は共著者として名前があがっているようである。「私は知らない」というのであれば、「名前を勝手に使用された」「名誉が傷つけられた」などで森口氏を告訴すべきだ。それが出来ないのであればこの事件では同罪である。このようにけじめをつけないことが同種の事件が絶えない原因である。いつの世でも売名行為はある。このような研究者は常に日のあたる研究分野に顔を出してくる。それに協力するのが新聞、テレビなどのマスコミである。今回の騒動の責任の多くは読売新聞にある。記事作成の検証をしなければならない。

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